映画

ケース

上映後解説(コルピ・フェデリコ×叶精二) コルピ・フェデリコ イタリアからの長編は珍しい イタリアは60年代に人形アニメで隆盛したが80年代以降は衰退 フランスのアニメーションに対する政府支援が手厚くクリエイターがそちらに流れてしまった形 現在はアニ…

マード 私の太陽

イスラムの家父長制の歪な側面を批判的に描く作品が多い中、マードには文化や風俗にもフォーカスしつつ外部の視点からイスラム社会の内部を描き出す新鮮さがあった 男性優位社会特有の不条理さは描かれるもそこに失望するだけの内容にとどまらず、互いに困惑…

DEEMO サクラノオト -あなたの奏でた音が、今も響く-

ストーリーが分かりやすすぎた嫌いがあり、過去の心象世界と現在を交互に描く物語構造を十分に活かしていたとはいえなかった 現在パートのウェイトを高めてもっと過去と現在を強くリンクさせる仕掛けがあっても良かったのではないかと思う 音ゲー原作という…

呪術廻戦 0

TVシリーズを大いに楽しんでいた身としては当初からこの劇場版にもかなり期待していたもの、ストーリーについて言えば習作的な色合いを濃く感じた作品だった。 本連載前に書かれた作品とのことで当然と言えば当然なのだけど、 導入→仲間の登場→一人ひとりに…

アイの歌声を聴かせて

予告を見た当初からストーリー、ビジュアル、楽曲全てに惹かれていた作品で、楽曲については土屋太鳳の歌唱力も相まって本当に素晴らしかった。 脚本についてもストーリーテリングが巧みで笑えたりウルッと来たりで楽しい作品ではあったのだけど、ちょっと単…

鹿の王 ユナと約束の旅

詰め込み過ぎという批判やら2時間でまとめるのは難しいという原作者コメントやらを鑑賞前に目にしていたのでこりゃ厳しそうだなーとあんま期待してなかったのだけど、蓋を開けてみたら濃厚なファンタジー群像劇に仕上がっていた。 なんと言っても物語の重層…

フラ・フラダンス

アイカツスタッフが数多く参加、コミカルで楽しくヒロインたちもかわいらしく、やぐちひろこのキャラデも相まってちょっと大人なアイカツ!といった趣の作品だったが、薄味な感じも否めなかった。 ヒロイン5人の成長を1年というスパンで描くのだけど、様々な…

ミラベルと魔法だらけの家

テーマ、構成、人物描写どこをとっても非常によく出来た作品で、なんなら最後ガン泣きしてしまったくらいで、ここ数年のディズニー映画ではベストだった。 魔法一家なのにヒロインだけ魔法が使えない設定からテーマや展開はなんとなく予想がつくものがあった…

さよなら、ティラノ

木の実しか食べないティラノサウルスと小さな恐竜、そしてこのタイトルとくれば『あらしのよるに』のような食物連鎖を描いた作品なんだろうなと思ってたんだけど、全くの別物だった。 冒頭で大量絶滅の直前の時代であることも示されて尚更そんな話だと思っち…

サマーゴースト

いい感じのジュブナイルだった。 なにかに似てるなと思ったけど初期の新海誠の叙情的で渇いた感じが思い当たった。 初期の新海誠の登場人物たちはみなどこか空虚さを抱えていたけど、本作の主人公たちも三者三様に生きることに空虚さを抱える。 一人は生の実…

神在月のこども

喪失感を乗り越えるというテーマそのものは好みだったけど脚本がイマイチであまり見るべきところがなかった。 ほぼ波乱無く予定調和が繰り返されるだけのロードムービーといった内容で退屈している時間のほうが長かったかもしれない。 設定上常に周囲が静止…

ロン 僕のポンコツボット

ポンコツロボットとの共同生活という予告からして興味惹かれてたのだけど、コンピュータへの愛情あふれる、面白い作品だった。 ストーリー上のキーとなるBボットは現在のモバイル端末が自走式ロボットになったデバイスで、冒頭に描かれる未来像だけでも高揚…

クー!キン・ザ・ザ

実写版から20年越しのリメイク、しかもアニメに媒体を移してキンザザの世界をどう描き直すんだろう、そんなことを期待して見に行ったんだけど、正直イマイチで実写版の魅力が損なわれてしまった感じだった。 惑星の環境、プリュク人の姿、様々なツールやテク…

リクはよわくない

公式サイト覗いた段階で一度見送ったんだけど予断は持つべきでないなと見に行ったらめちゃくちゃ辛い1時間になってしまった 想定以上に対象年齢が低かったってのもあるけど、あからさまに低予算で上映できるレベルに達していたとはちょっと思えなかった。 勝…

不思議惑星キン・ザ・ザ

『クー!キン・ザ・ザ』の公開と同時に実写版の本作もリバイバル上映されるとのことで、どうせならと先に実写版の方を見てきた。 ソ連のことは全くよく知らないのだけど、共産主義体制における形式や階級差別への痛烈な皮肉が込められていることは読み取れて…

整形水

「整形水」を使うことで全くの別人になれるという着想は面白く、それをホラーとしてどう描くのか結構期待して見に行ったんだけど、脚本の質が低くアイデアが活かされてたとは言えない内容だった。 練り込み不足なのか設定に整合性が感じられないような部分が…

カラミティ

いや面白かった。 同じ日に見た映画がずいぶん冗長だったこともあり余計だったかもしれない。 監督は『ロング・ウェイ・ノース』のレミ・シャイエ。画の感じからしてメインスタッフもたぶん同じなのかな。 ロング・ウェイ・ノースに引き続きフェミニズムがテ…

岬のマヨイガ

震災直後の岩手を舞台とした作品。 震災を乗り越えることがテーマとなっており、それが心に傷を持つ二人の少女が「マヨイガ」に導かれ過去を克服していく姿を通して描かれる。 のだけど、終盤を除くとほとんど話に動きのない作品で、個人的には強い間延び感…

ジュゼップ 戦場の画家

見終わってから伝記映画だったと知った。 フィクションだと思ってただけに全然テーマが理解できなくて最初に出てきた感想が「なんだったのだろうこれ」だった。 ただノンフィクションだと分かってたら作品を読み解けていたかというと、受け取り方が変わった…

サイダーのように言葉が湧き上がる

ビビッドな色使いにコンプレックスを持つ男の子と女の子、そして俳句。 予告を見た時からかなり惹かれるものがあったのだけど正直思ってたのとは違ったかな。 色彩設計もそうだし、キャラデであったり、マルチスクリーンの使い方だったりオシャレでポップで…

最近見たアニメと映画

音楽 ものすげー作画枚数だと喧伝されてたのでこの線の少ないキャラクターがどう動くんだろうと結構期待してたのだけど、正直アニメーションとしての凄さはよく分からなかった。 というかなんでロトスコだったんだろうと。 ロトスコを使った新しい何かがあっ…

最近見たアニメと映画

2分の1の魔法 グランドシネマサンシャインのめちゃくちゃ巨大なIMAXで見てきた。 CGによる映像表現は相変わらず見事なもので、画面に映るオブジェクト一つ一つが徹底的に作り込まれており、IMAXという事も相まって強い没入感が得られた。 ただ、今回のキャラ…

今日見たアニメと映画

マイレージ、マイライフ やっぱ家族って最高や!的ステレオタイプな映画かと思ったら予想外に苦々しい結末が待っていた。 結局のところ独り身も結婚も否定してはいないけど、色んな生き方があっていいという風に肯定もしてないんだよな。 むしろどんな道を選…

フラグタイム

とりあえず声を大にして言いたい。 フラグタイムは百合アニメとしては青い花以来のジャンルを超えた傑作だったと。 前日に同じスタッフが作った『あさがおと加瀬さん。』を見ていたので「フラグタイムもこんな感じかなー」くらいの気持ちで劇場へと足を運ん…

この世界の片隅に

戦前戦中の人や風俗がとても精緻に描かれた作品だなあと。 いや実際どうだったかはほとんど全く知らないのだけど、丁寧な描写それ自体が強い説得力を持っていた。 ただ、戦中期において地方の庶民は結構のんきにやっていたなんて話は割と耳にするので、実際…

天気の子

いつもならアニメの感想はツイッターに垂れ流すのだけど、思ったところも多くて上手くまとまらないし久々にブログでだらだら書いてみることに。 鑑賞後の第一印象としては「キャッチーじゃなくなったなあ」だった。 のだけど考えてみたら「君の名は。」が新…

ロッキー5/最後のドラマ

ロッキー5、4よりつまらないと聞いていただけに、そんなん90分でも辛いわと思ってごはん食べながらテキトーに流し見るつもりだったんだけど、普通に面白くて最後まで一気に見てしまった。1作目は間違いなく名作なのだけど、2以降は1作目の流れをただ踏襲し続…

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで

理想を捨てきれずに現実の前に自分を見失ってしまった哀れな夫婦の物語と切り捨ててしまえば簡単なのだけど、最後まで現実を受け入れられなかった妻のエイプリルの姿には痛く同情と共感を覚えることはまた禁じえなかった。 「普通」の人間は大人になるにつれ…