整形水

「整形水」を使うことで全くの別人になれるという着想は面白く、それをホラーとしてどう描くのか結構期待して見に行ったんだけど、脚本の質が低くアイデアが活かされてたとは言えない内容だった。

練り込み不足なのか設定に整合性が感じられないような部分が散見されたし、そもそも構成が拙く単純にストーリーが面白くなかった。

サイコホラーとしてしまったのも失敗だったように思える。

美貌を手に入れたヒロインが芸能界に進んだとなると、やっぱりそれを失うことや秘密の暴露に怯える姿が見たくなるものだけど、実際にはあまり脈絡なくシリアルキラーが登場して追い詰められていく、しかもオカルトじみたオチがついたことで尚更興ざめしてしまった。

劇場を出た後に二人組の女の子が「そういう系のホラーだったんだ……」とがっかりした様子で話しているのを見かけて僕も心の中で大きく肯いていた。

他人の美しいパーツを収集するという人間を通じて表現したかったこともなんとなく分からんではないのだけど。

韓国では整形を題材にした作品も少なくないであろうことを考えると、僕の見たかった笑ゥせぇるすまん的作劇は手垢が付きすぎてたりするのかもしれない。

まあどうあれ春先に見た同じく韓国アニメでルッキズムを題材にした『白雪姫の赤い靴と7人のこびと』の出来を考えると、クオリティの低い作品だったことに変わりはない。