岬のマヨイガ

震災直後の岩手を舞台とした作品。

震災を乗り越えることがテーマとなっており、それが心に傷を持つ二人の少女が「マヨイガ」に導かれ過去を克服していく姿を通して描かれる。

のだけど、終盤を除くとほとんど話に動きのない作品で、個人的には強い間延び感を残しただけで終わってしまった。

マヨイガにたどり着いて導入が終わったあとは3人で生活するさまが淡々と描かれるだけでまあ何も起きない。

もちろん心の傷に焦点は当たっていくのだけど、そこを基点として話が動いていくということが一切ない。

例えばひよりが両親の葬式を思い出してパニックを起こす場面があるけど、そこから話が広がっていくことなく別の場面へと移ってしまう。

謎や伏線がほとんど無い本当に平板なストーリーで、それが2時間近く続くとなると途中から退屈でしょうがなくなっていた。

震災の対比として日常性を強調したかったって意図も分かるは分かるのだけど。

舞台や芝居のリアルさに対してファンタジー色がやや強すぎた嫌いもあり、妖怪たちの登場によって俄然子供っぽい雰囲気になって白けてしまったところもあった。

まああとから原作が児童文学だと知って色々合点はいったけど。

それにしては映画のユイの年齢設定は高すぎた感があるし、ターゲットがぶれていたような感じもする。

芝居含めた人物描写は良かっただけに二人のトラウマを丁寧に紐解いていくような物語が見たかったなあ。

川面真也と吉田玲子の作家性に凄く合った作品だったとは思うだけになんとも残念ではある。