フラ・フラダンス

アイカツスタッフが数多く参加、コミカルで楽しくヒロインたちもかわいらしく、やぐちひろこのキャラデも相まってちょっと大人なアイカツ!といった趣の作品だったが、薄味な感じも否めなかった。

ヒロイン5人の成長を1年というスパンで描くのだけど、様々な出来事が起きる反面それらに一貫したテーマがあまり見出せず、ただエピソードを羅列したような内容に映ってしまったのが原因に見えた。

特に後半は時間的に飛び飛びになるためシーケンス同士の関連性が余計に薄くなり、ますますとっちらかった印象を受けた。

姉・真里の死が冒頭に示唆されたのでこれが話の軸になっていくと思ってたんだけど、実際には人形に憑依する設定いる?ってくらいに絡みがなく、そのまま昇天してしまう。

普通に真理の死を軸に物語が展開していき、震災復興に絡めて「乗り越えること」をテーマとしたストーリーじゃダメだったのだろうか。

ラストシーンの「私はここにいるよ」ってセリフもそういう意図を込めてたと思うんだけど、本筋とあまりつながってないから一見すると意味がわからないシーンになっていた。なんで草原走ってんねんと。

勝手な推測ではあるけど、湿っぽくなりすぎないようにする意図はあったのかもしれない。

そのことは、真理の死を中心に据えなかったこともそうだし、他のヒロインの描かれ方からも窺えて、例えばしおんの引っ込み思案な性格はコミカルにしか描かれないし、蘭子はひたすら明るく描かれるだけで、彼女たちの陰影にスポットが当てられることはほとんど無かった。

公演の初成功をゴールとしつつ5人が絆を深めていく中でもっと内面にフォーカスしていっていれば群像劇として随分と違うものを描けていたようにも思う。