カラミティ

いや面白かった。

同じ日に見た映画がずいぶん冗長だったこともあり余計だったかもしれない。

監督は『ロング・ウェイ・ノース』のレミ・シャイエ。画の感じからしてメインスタッフもたぶん同じなのかな。

ロング・ウェイ・ノースに引き続きフェミニズムがテーマとなっていて、19世紀、女性への抑圧が今よりずっと強かった時代に自分の意志で行動するヒロインを描いた点でも共通している。

更には冒険譚というところまで共通しているけど作風は大きく異なっていて、カラミティは非常に動的な感じで、冒険色もより濃くなっていたように思う。

それは船上と陸地、氷河とフロンティア、舞台の違いによるところもあるけど、やはり何よりマーサのキャラクターが大きい。

周囲も顧みず思いつくままに行動する直情型のヒロインで、どこへ行ってもめちゃくちゃして場に混乱をもたらす。

だからこそ「カラミティ」と蔑まれるのだけど、そのめちゃくちゃによって次から次へと立ちはだかる困難(自分から呼び込んでるとも言えるのだけど)をこじ開けていく姿は本当に痛快だったし、時に引き起こされる大騒動はスラップスティックのように愉快でもあった。

またジェンダーバイアスが一層物語を痛快なものにしていて、特に前半においてマーサの属するコミュニティを抑圧的なものとして描くことで後半に強いカタルシスを味わえる構造にもなっていた。

性別を隠すための男装にしてもスリリングさを味わえる仕掛けとなっていてフェミニズムというテーマが物凄く活かされた物語構造となっているのは非常に興味深いところでだった。

気になったところとしてはやっぱりアメリカなのにフランス語喋ってるところで、最初フランス系移民なのかとも思ったのだけどみんなフランス語喋ってるしそういうわけではなさそう。

ちなみにマーサの声を聞きながら吹き替えは映像研の伊藤沙莉で見てみたかったなあとか思ったり。