NHKスペシャル「認知症の母と脳科学者の私」 感想

  • 番組に出てくる認知症の母親の年齢が自分の母親の年齢に近く、否が応にもそこに母親の姿を重ねてしまい非常に身につまされる思いで見ていた。ざっと調べたら認知症の発症率は70代で約8人に1人、80代後半になると半数近いらしく、程度の差は大きいにせよ自分の親にもいつかは起きると考えると激しい恐怖心を駆り立てられる。
  • 番組内では脳科学者の女性が母親の認知症が進行するに連れて精神性を喪失していく姿に苦悩する姿を描いていたけど、同一性が失われていくことに対する恐怖がまざまざと伝わってきた。ある意味でそれは一人の人間が死ぬことに等しいもので、実際に死ぬことと同じか、もしくは時間をかけて進行していく分もっと辛く、恐ろしい経験なのかもしれない。それが自分の母親に起きると思うと本当にたまらなくなった。
  • 番組ではたとえ認知症が著しく進行しても当人の精神性は残っているのだと希望をもって描いてもいて、実際そうなのかもしれないが、そう思い込まないとやってられない部分も大いにあると思った。自分の名前すら思い出せなくなった人を同じ人だと確信を持って言える人は一体どれくらいいるのだろう。
  • 一方で認知症やがんというのは自然死の一部なんじゃないかとも思わされ、老化すれば避け得ない事象であり、当人も周囲の人間もそれが自然なんだと受け入れていくしかないのかもしれない。