面白いし良い作品であることは間違いないけど、金ローでやるべき内容だとはちょっと思えなかった。
2時間という枠を使うのだから中編くらいの規模感のストーリーを想定していたんだけど、全くそういうことはなくて普通に独立した4つのエピソードになってたことに逆に驚く。
しかもかなりしっとりした作品で、プライムタイムで、金ローでこの内容はある意味挑戦的だったとも言える。
純粋に作品として見ると登場人物の機微がとてもよく描かれていて、同時に主人公のフリーレン自身はそうした機微や情緒がよく理解できず、それを学んでいくというのは面白いところ。
その点が象徴されてるシーンがあった。
フリーレンがフェルンの頭を撫でるシーンには、ヒンメルたちがフリーレンに感じてきた愛情を、フリーレンも同様にフェルンに感じていることが表現されていた。
ただ、フリーレン自身はまだそれが何かを理解してない。理解してないけど行動に現れる。
そうした細やかさこそが特徴であり、面白さなんだろうと思う。
情緒を獲得していく、また長命である点も考えると、『不滅のあなたへ』に通じるものを覚えた。
まあ『不滅』の方はお話がだいぶ粗っぽいので、比較するとフリーレンの出来の良さが際立ってしまうけど。
勇者亡き後の世界という設定自体はそう珍しいものではなく、この作品も魔王軍の残党との抗争みたいなのを軸にしたストーリーになっているのかと思ったらそうでもなさそうで、そこもちょっと意外だった。
OP見る限りだとそういう展開に持っていくんだろうか。