- レイト・アフタヌーン
ブレッドウィナーの前に上映された短編映画。
おそらく認知症の老人を描いた作品って事でいいんだろうけど、認知症を抱える人が見てる世界っての確かにこういうものなのかもしれないなあ。
迷宮のようになった過去の記憶の中をずっと彷徨い続けてるというか。
最近祖母がボケ始めたらしく、個人的には割とタイムリーな感じの作品でもあった。
- ブレッドウィナー
イスラム圏は女性の権利が制限された地域が未だに多いとは聞いてたけど、ここまで如実に突きつけられると見ててかなりキツいものがあった。
その事実に戦慄したし、全くやるせない思いがした。
物語自体はあくまで創作という事ではあるけど、パヴァーナのような少女たちが現在進行形で存在していても全く不思議ではないと思えるようなリアリズムに満ちていた。
そして不謹慎かもしれないがだからこそ物語としてはとても面白かった。
常に生死が問われるような世界で、女性はモノ扱いされるような世界で、少女が少年に変装して生き抜く姿はただそれだけで緊張感に満ち満ちたものだったから。
そしてそんな中にすら存在する人の善意に心動かされない人間がいるだろうか。
と同時にこうして自由を享受している僕らに対して信じられないような現実を幾度となく突きつける事でこんな問いかけがなされてるようにも思えた。
一体なんなんだろうかこれは、今はもう2020年じゃないのかと。
ネット上では中世という揶揄のされ方があるけど、これこそまさに中世の世界そのものだ。
作中で展開されるパヴァーナの空想による劇中劇は現実との強い対比性がそうした疑義を尚更強めてもいた。
目を背けたくなるような現実が描かれていたけど、この現実をちゃんと直視していかないとダメだと思った。