荒ぶる季節の乙女どもよ。 #08-#12

  • 波乱はありつつも8話で晴れて和紗と泉、曽根崎先輩と天城くんががくっついて甘酸っぱい空気にニヨニヨしつつも「こんなあっさりくっついてこれ以上描くことあるのかな」と思っていたら、菅原氏を起点に大暴風が巻き起こり、終盤は本当に面白かった。物語が破局に突き進んでいくような雰囲気はとみに岡田麿里らしかった。
  • 演出的に目を引いたのが10話で、頻繁に登場する赤い月のカットや街灯に群がる蛾を通じて登場人物たちの不安定な心理や所在を分かりやすく象徴していたのが印象的だった。赤い月は単純に精神を表しているだけではないようにも思ったけどどうなんだろう。
  • 11話ラストを見ると教師たちを共通の敵に再び結束して勢いで全部解決!みたいな結末になりそうで不安だったんだけど、互いにきちんと気持ちをぶつけ合うことで、ここまでの不穏さや緊張から一気に解放されるような爽快なラストになっていた。最後は文芸部という居場所に戻ってきてというのも綺麗だった。色恋の問題は色鬼で片を付けるというのも小粋で、相手の見てる色を見つけようと懸命になり、通じ合う同士もいれば、通じ合わない同士もいて、それでも歩み寄りたい、近づきたいと必死な姿を見せる。そこに心打たれるものがあった。
  • 8話でこれ以上描くことあるのかと思ったと書いたけど、むしろ性がテーマなのだからくっついてからも描けることは多いわけで、この先の彼女たちの物語も見たかったなと想う。性に翻弄される少年少女たちの感情を精緻に捉えることで、甘酸っぱくユーモラスで、構成的な秀逸さも手伝って本当に面白いラブコメだった。岡田麿里最高傑作と言ってもいいんじゃないだろうか。その意味で岡田麿里が仕事をセーブしちゃってる現状は惜しいなあと思わされる。