グッバイ、ドングリーズ!

・変化への渇望や冒険を通じて描かれるビルドゥングスロマンといったテーマ、周縁的な存在である主人公たち、コンプレックスなど『よりもい』を踏襲して作られた作品であることは明らかだったが、『よりもい』のような面白さは感じられなかった。

・『よりもい』自体が展開の面白さというよりは人間ドラマの面白さが作品の魅力だったと思うのだけどそれもキャラクターの魅力の上に成り立っていたところはあって、キャラクターにあまり魅力が感じられなかった本作はそれがそのまま作品としての魅力の無さにつながってしまったのかもしれない。

・いいとこも悪いとこも描いて等身大の16歳を描くことを目指してたのかもしれないけどそれに失敗していた気がする。饒舌さゆえかあんまリアルな高校生には見えなかったし、一方で嫌な部分にばかり目がいってしまい、前半なんかはずっとギスギスしていて空気の悪いロードムービーみたいになっていた。

・ただ終盤の仕掛けは感心したし、美術も素晴らしいものがあった。終盤はなんかのPVみたいだったけど。あと緩急の付け方というのか、いしづかあつこのカメラワークは見てて楽しいなと改めて思った。