ボブ・スピット-人間なんてクソくらえ-

上映後解説(コルピ・フェデリコ×叶精二)
  • 制作会社はブラジルのアメリカの下請けが主?(ちょっと失念)の会社で、本作は石油系メジャーや政府関連団体から出資を受けている
  • アンジェリは実在の漫画家で、作中に登場する漫画も実在のもの。50年代アメコミのアンチテーゼ的な作風でブラジルでは非常に人気を誇った
  • その他アンジェリのマネージャー、同業者の女性漫画家も実在の人物でそれぞれ本人が声を当てている。なお途中で登場するタクシードライバーはアンジェリの編集者で物故者
  • しばしば言及される「バナナ入りのチューインガム」はアンジェリ自身が発行していた雑誌の名前。ボブ・スピットを始めとした登場人物はアンジェリの過去作品に登場したキャラクターでスターシステムが採用された形
  • 2016年に制作が始まり撮影期間に3年、ステージは22個、人形は60体使われている
  • 通常リプレイスメントシステムを用いた撮影では人形の継ぎ目を画像処理するものだが低予算ゆえに処理されていない。作品的にかえってそれが味になっている(叶)
  • 監督はアンジェリを題材にした作品をこれ以前にも2つ撮っている。本作も含めて内容は共通してアンジェリがBordosa(『ボブ・スピット』の人気があったヒロイン)をなぜ突如殺したのかに迫る内容となっていて根底にはキャラクターは誰のものかというテーマがある
感想
  • 解説の通り文脈を理解していないとテーマ理解も難しい作品ではあったけど、単純に創作物が創作者を殺しに来るというメタフィクショナルな構造が面白いエンタメ作品でもあった
  • 前半はボブ・スピットたち創造物が「創造主」アンジェリの精神状態に振り回されるんだけど徐々にインタラクティブな関係になっていき、自ら作った世界がどんどん迫りくる感じにサスペンス性、予測不可能性があって面白かった。
  • キャラクターは誰のものなのかというテーマもホームズの復活から「公式が勝手に言ってるだけ」にまで通じるものがあり、実は普遍性を持った作品だったと言えるのかも
  • ストップモーションでこんなパンキッシュな題材が扱われること自体が新鮮でもあった。チンコを揺らす人形アニメとか初めて見たよね。