ラディアン #13-#18

・途中から止まらなくなってランブルタウン編一気に駆け抜けてしまった。いやー面白かった。序盤に移民差別というテーマが直球で描かれることでにわかに画面が引き締まり、一方ではコンラッドの陰謀、グリムの存在、ハーメリーヌの影と様々な思惑が絡み合うことで期待感も高まっていく。コンラッドの陰謀が詳らかになるに連れて徐々に窮地へと陥り緊張が増していき、セトとコンラッドとの対峙でドカンと盛り上がり、更にはハーメリーヌとの対峙でもう一段の盛り上がりを見せる。そこで終わらず奇跡の人の登場やセトの覚醒へと続き、熱い展開に次ぐ熱い展開で構成されているのだからかっぱえびせん状態にもなる。コンラッドとハーメリーヌ、立場の異なる敵の存在が展開を読ませない点も大きかった。そしてこの構成の妙に華を添えたのが何をおいてもハーメリーヌで、驚くほどシビアな回想を通じた彼女の悲哀が敵でありながら強い魅力を生み出し、と同時にセトがコンラッドをぶっ飛ばす強いカタルシスを生み出してもいた。そんな彼女とどんな決着をつけるのか、対話を通じて徐々に心を通わせ合い、最後にセトが彼女の憎しみも悲しみもすべてを受け止める姿はとても前向きで暖かい感動的なものになっていた。だからこそ直後に死に別れるのは衝撃的だったし、あまりに切なかった。ハーメリーヌはとても不安定なキャラとして描かれてるんだけど、セリフの一つ一つから憎悪と悲嘆に支配されたキャラクターがすごく伝わってきたし、それを演じる内山夕実も見事な抑揚を通じて本当に素晴らしいものを見せてくれていた。

・作品の序盤から少年漫画っぽさは感じてたんだけどランブルタウン編ではワンピースの影響が濃厚に感じられた。敵の陰謀が徐々に進行し街にパニックが起きてカタストロフが起きる構成なんかはまんまだし、回想における悲劇の描かれ方であったり、セトがハーメリーヌと対峙するまでの溜め方であったり、作劇の端々にワンピースを彷彿とさせた。コンラッド戦においてはセリフを遮ったり、相手のヒゲでおちょくったりといった本歌取りまで見られたほどで、他にも探せばいくらでも共通点を指摘できそうだけど、かと言って二番煎じになってるわけでもなくちゃんとオリジナリティを感じさせる。話の筋が全く異なっているのもそうだけど、今回の救われない結末を通じた湿っぽさを見ると作風の違い、ひいては人物描写を大きく異にしている。またセトの発した「悪いやつをぶん殴って倒せばどうにかできる」 というセリフにはスタンスの違いがはっきりと表れていて、複雑な社会問題を扱いつつそれが現実感を持って描かれているのは身近に移民という存在がいることが強く反映されているのかもしれない。何より今のワンピースの最大の欠点とも言える冗長さを感じさせないところが最も評価できる部分と言える。まあ原作はどうか知らんし、前半クールはあまりに退屈だったけれども。