少女☆歌劇 レヴュースタァライト #7 大場なな

世界の思わぬ真実に大場ななの二面性。ここまで描かれてきたものを根幹から揺るがすような衝撃があった。単純にトップスターの座を競う物語だと思ってたところにまさかのループ世界の提示。しかもその黒幕は大場なな。彼女がこれまで見せてきた献身的な姿とは正反対の顔が明らかになった。裏表があるだけでも本作としては異質な存在だが、自らの欲望のために仲間を「絶望の輪廻」に幽閉し続ける倫理観の欠如、キリンが何度目かもわからないと言うほどに繰り返されてきた1年を何食わぬ顔で演じ続ける狂気には戦慄すら覚える。だがそこに彗星のごとく現れた神楽ひかりが輪廻の破壊を予兆させる。熱い。熱すぎる。

劇中劇スタァライトにおける登場人物のセリフは各ヒロインを象徴するものとなっている。その中でばななには「絶望の輪廻を繰り返す」というセリフが与えられているが、何度2017年からの1年間を繰り返しても満たされることはなく彼女にとってもまたループは絶望でもあるのだ。その救いとしてのひかりがどんな眩しさを放つのか。

7話全体を通して「大場なな」を表現している点でも非常に面白い回だった。

ばななの過去への執着はいたるところで表現されているが、写真によって一瞬を切り取って残そうとする行為は何よりも彼女を象徴している。また7話は記録映像のような語り口になっている点も大場ななを感じさせる。

ミロのヴィーナスの不完全さは彼女が完全な第99回聖翔祭に永久に手が届かないことを暗喩する。またベタな解釈ではあるが完全でないゆえの美しさがあることも込められているのか。

欠けていった者たち、選ばれないことへの残酷さに傷つき、前に進もうとする仲間たちの言葉がばななの心を引き裂く。そしてレヴューで彼女は闇に堕ちる。

ライティングによる二面性

回りだす運命。