スーパーワギャンランド、それは理不尽

つい先ほどKAMISAMAコースで、パーフェクトクリアを果たした。多分、2ヶ月くらいプレイしていたかと思う。本当にしんどかった。
先に断っておくと、僕はヌルゲーマーだ。子供の頃はゲームに際して攻略本は必携だったし、にもかかわらず所有ソフトの1割をクリアしたかどうかといったところだし、マリオカートタイムアタックなどやれば手汗びっちょりだし、スマブラでは最初にやられるタイプだし、ストツーをやれば波動拳でマメができちゃうしと、根性はHITONAMI以下、集中力はOKOSAMAレベル、そして不器用とまるでゲームに向いてなかったりする。
そんな俺でもクリアできたんだからクリア出来ないヤツはゴミカス。とかそんなことを言いたいわけではなくて、どんなにコアなゲーマーでも、少なくとも絶対に一度は世界の中心でふざけんな!と叫びたくなるような理不尽さがこのゲームにはあるということをヌルゲーマーの立場からでも悟れたということを今回主張したいというわけだ。
スーパーマリオブラザーズ2というゲームがある。数多くあるマリオシリーズにおいて屈指の難度を誇る1本だと言われている。簡潔に言うと、去年だか一昨年だかプレイして僕はクリアした。別にそれを自慢したいというわけじゃなくて、確かに難しかったが、このステージはありえないくらい難しかったとか、そんな記憶は一切残っていない。実際、数日、長くとも2週間以内にはクリアしてしまったような覚えがある。
そんなワギャンマリオ2、両者ともに難しい。しかし、明らかに難しさの質が違う。単純に難易度を比較してしまえば、圧倒的にワギャンのほうが難しい。その上で、じゃあどっちのほうが面白いかといえば、おそらくマリオ2のほうが断然面白いだろう。何が両者を隔ててるのかというと、そう。先述した理不尽さにある。
KAMISAMAコースを今からやるよ、いつかやりたいと思っている諸兄に忠言しておきたい。このゲームは爽快感という言葉とはまるで無縁だということを。例えばマリオ2なんかでいえば、ダッシュをしていて、急にノコノコなんかが出てきても咄嗟にジャンプして免れるといったことは難しくなかったりする。しかし、ワギャンではそんなことは許されない。一気に進もうとすれば急に敵が出てきてやられ、辛うじてそれを免れても、着地点に敵がいたり足場がなかったりしてやられ、確実に免れきれない敵配置がある。特に中盤以降は必ず。だから、結果的に我々は常にビクビクしながら歩を進めることになる。これが果たして爽快といえるだろうか。
しかし、理不尽なのは敵配置だけではない。このゲームにもいわゆる強制スクロール面といったものが存在するのだが、断言する。これらのコースは、どんなにゲームがうまかろうと、一発でクリアすることは出来ないだろう。おそらく、全42ステージ中、最凶ステージといえるもののほとんどがこの強制スクロールステージに該当する。まず、基本的にこれらのステージには落とし穴がある(マリオで言うところの足場が連続していないステージ)その状態で常にスクロールし続ける。といっても、これくらいはマリオワールドにだってある。しかし、ワギャンにはそれに加えて、先程の理不尽な敵配置があるわけだ。ゆえに、何度もプレイして完璧に敵配置を覚えようが、強制スクロールであるため、のほほんとはやってられない。つまり、極めて神経を使う「作業」となってくるわけだ。ゲームであるはずなのに。
そして、ようやくクリアしたかと思ったら、今度はボスが居る。ステージごとに。内容はミニゲームで、神経衰弱、モザイク当て、しりとり、数字探しがある。神経衰弱とモザイク当てはパターンを覚えれば難しくない。しかし後の二つはこれまた難しい。しりとりまで説明すると流石に冗長になりすぎるので、数字探しのほうだけ。ルールとしては、5×8マスの枠にランダムに1から40までの数字が並べられ、提示された数字をNPCより先に見つけ出すという、まあ一種のカルタみたいなものだ。それだけ聞くと簡単そうに思えるかもしれないが、不規則に並べられた40もの数字の中からNPCより早く(時間にして5秒程度)次々と数字を探し出すというのは存外に難しい。しかもこちらは直前まで全神経を集中させて困難な道程を越えてきたにもかかわらず、更にまだ神経を使えと要求してくるのだ。落としたらまた最初からやり直しというプレッシャーも常に付きまとう。しかもそれにとどまらず、ゲーム自体が後半に進むにつれ、NPCの速度は増していき、40枚中35枚取れなければ負け、など条件もかなり理不尽となっていく。これを鬼畜という以外にどう表現しようか。
そんなことを42回繰り返してようやくクリアできるのだが、実はこのゲーム、ほとんど各ステージに裏面があり、それらを全てクリアすることでトゥルーエンドを迎えられるというありがちなやり込み要素もあったりする。裏面は、入った瞬間ボスだったり、また別にステージがあったりとコースによりけりだが、例にもれずこれらのステージも凄まじく難しい。というか、全般的に表(おもて)面を凌駕する難しさがある。「イカ」と聞くだけでげんなりしてくる人もいるんじゃないだろうか。まあその辺はもういい。問題はその裏面の場所だ。基本的にはワギャンの吐くワギャナイザーを当てることで裏面が出現するのだが、それで出るコースはまだいい。いや当てて出るコースも、右から当てないとダメ、左からじゃないとダメというひどいルールがあったりするのだが、それよりひどいのが、「その場に数秒とどまる」だとか、「その場で行ったり来たりする」だとか、普通にプレイしてたらおよそ間違いなく絶対そんな行動しねえし思いつかねえだろ!というようなことが平然と出現条件になっていたりするのだ。もちろんゲーム中にそんなヒントは一切ない。つまり、製作者側としてはパーフェクトクリアしたいなら攻略本かファミ通でも買っとけということなんだろう。汚いワギャン製作チームこんなところまできたない。結局僕としても一度探して見つからなかったら攻略サイトを見るという形でクリアした。そもそも強制スクロール面でワギャナイザーを片っ端からぶっぱなしてる余裕なんて無いのだ。ちなみにおそらく一番難しいのは、雲の強制縦スク面の裏面だろう。多分これも説明してもよく分からないだろうから分かってくれる人だけうんうんと頷いてくれればいい。というかずっと前からそんな文章になっている
さて、カタルシスを味わえるくらいに恨みつらみをあまりに長いこと書いてきてしまったが、そろそろ結論に入りたいと思う。なぜ僕はクリアするのに2ヶ月もかかったのか。長々と書いてきた文章を要約してしまえば、長くプレイすればするほど再チャレンジしようという意欲をじわじわと奪っていくあまりにプレイヤー泣かせなゲームだったからだ。それくらいにストレスのたまるゲームなのだ。その一方でクリア後の達成感と言ったら凡百のゲームの比ではない(なんだかそれで喜ぶのはスタッフの思う壺のように思えてきて腹が立ってくるが)もうしばらくはワギャンの姿さえ見たくないほどに憎らしいが、と同時にここまでの印象を残したゲームというのは人生の中でも数少なく、なにやら愛情のようなものを感じているようにも思えた。


ちなみに裏面探しの参考にしたサイトを以下にリンクしておく。
http://hitobasi.hp.infoseek.co.jp/index.html