投資だったり借り入れだったり、お金は異時点間の選択が行われる。例えば株式や債券への投資であれば将来のキャッシュフロー(お金の動き)を考慮して行う。
具体例を挙げると、いま10000円を持っていて、確実に1%の利回りを得られる商品があるとしよう。その商品に投資すると10000円は確実に1年後に10100円となる。確実にお金が増えるのだから1年後の10100円と現在の10000円は価値が等しく、1年後の10000円の価値は現在の10000円よりも小さくなると考えられる。
このように金融取引は現在のお金と将来のお金を等価交換する取引と言え、同じ金額のキャッシュフローでも受け取る時点が異なると価値も違ってくる。これをお金の時間価値(貨幣の時間価値)と言い、投資がどれくらいの収益をもたらすのかといった問題を定量的に解決する考え方となる。そしてお金の時間価値を評価するための手段が金利となる。
金利とは、様々な状況で借り手が貸し手に一定期間後に支払いを約束する金額を決めるもので、普通は年利3%とか投資金や貸出額に対する割合で表される。異時点のキャッシュフローの交換比率とも言える。
さっきの例で言うならば10000円出せば1年後に10100円に交換できるわけだから金利は1%。
交換比率は
となる。
同じようにさっきの例で1年後の1円を今日のお金に換算すると、
となり、このように金利を使って将来のキャッシュフローを今日のお金に換算することを割り引くといい、分母の金利を割引率という。
金利は要求収益率の意味も持つ。これは投資家がある投資で最低限ほしい収益率のこと。収益率rは、ある投資の投資金額をV₀、最終価値をVₜとし、他に収益が一切無いと仮定すると、
と表され、これにさっきの例の数字を代入すると、収益率は
となる。
金利の別の意味として機会費用もある。さっきの投資とは別の投資があるけど、手元には10000円しかない状況。悩んだ末に後者の投資に10000円を突っ込んだとすると、本来得られていたはずの1%の利回り100円は諦めることになる。この諦めた投資の収益、ifの投資の収益が機会費用となる。
まとめると金利は以下の3つの捉え方をできる
- 割引率
- 要求収益率
- 機会費用