DAHUFA -守護者と謎の豆人間-

中国でこんな社会風刺色の強い作品作れるのかと、前週に見た『白蛇:縁起』とはまた違う驚きがもたらされた。

言論統制、暴力と相互監視を通じた支配、愚民政策と中国共産党のあり方を彷彿させるようなメタファーに溢れていて、ここまでハッキリと体制批判を描けるのかと。

とは言え直接的な党批判とならないような「配慮」も行き届いていて、党を連想させる固有名詞なんかは当然一切出てこないし、物語の結末も二面的な解釈ができるよう描かれている。

導師の圧政に虐げられていた豆人間たちは革命によって母なる存在を取り戻すわけだけど、ではあの母体はなんであったのか。

共産党に取って代わる新たな政治体制とも取れるし、旧弊的な連中を一掃した共産主義の勝利とも取れる。

なんだか検閲チキンレースの様相を呈してるようだけど、この作品が当局に承認されたという事実はやっぱり興味深い。

脚本自体は粗っぽいながらも緊張感のある展開の連続と徐々に明らかになっていく秘密によってどんどんと引き込まれていくような面白さがあった。

キャラとしては殿下の人間臭くて卑近な感じが好きで、終盤のジャンが殺されるシーンはベタにグッときてしまった。

あのシーンはジャンが最も人間らしさを見せるシーンだったけど、豆人間のがかえって人間らしいという倒錯性なんかも示唆深くてこの作品らしいところではあった。